ご案内したCSRマルシェは、「新しい施策を増やす」発想ではなく、
企業がすでに持つ資産を社会価値へつなぎ直す構想です。
その前提となるのが、【ロビー・ホール・通路】などの“空間=遊休スペース”です。
「遊休スペースってどこ?」「そんな場所使わせない」と思うのが自然です。
このページでは、CSRマルシェにおける「遊休スペース」の定義を言語化し、舞台としての必要性、抵抗が生まれる理由とその配慮設計、そしてCSRからSDGs・DEIへつながる価値の連鎖までを整理します。
1. CSRマルシェにおける「遊休スペース」の定義と言語化
「遊休スペース」とは“使っていない場所”の意味ではない
CSRマルシェでいう「遊休スペース」とは、「余っている」「管理されていない」と言う意味ではありません。
ここでの「遊休とは」、次のような状態を指す“概念”です。
- 目的・役割はあるものの、稼働の密度にばらつきがある
- 日常業務では、滞留や活用の対象として意識されていない
- 社会との接点としては、位置づけられてこなかった
従来は業務外とされてきた、【ロビー・ホール・通路】を、
企業価値と社会価値を同時に自慢できる「CSRの場」にしてしまう発想です。
つまり、“活用の文脈が付与されてこなかった空間”を、CSRの視点で定義した呼び方です。

「遊休スペース」は企業の資産であり、管理責任の対象である
企業内の空間は、安全・衛生・業務・防犯・ブランド保全などの観点で運用されています。
CSRマルシェはその前提を崩すものではなく、資産としての空間に新しい意味を加える考え方です。
2. なぜCSRマルシェの「舞台」として「遊休スペースが」が不可欠なのか
「生き甲斐」が醸成する出会いの場
CSRマルシェは、寄付や支援を“単体で行う”仕組みではありません。
人が集まり、出会い、共感が広がり、共有化され
「生き甲斐」が醸成する
- 出店者と購入者が出会う場
- 企業と地域が接点を持つ
- 支援の背景や想いが共有される
- 企業の姿勢が体験として伝わる
「生き甲斐」の醸成の場として
出典:Marc Winn氏の「Ikigaiベン図」

空間を起点にすると、20年不動の阻害要因を“構造で”超えられる
経団連調査でも指摘され続けた阻害要因(人的リソース/予算/成果の見える化)は、担当者の努力で埋め切れる課題ではありません。
遊休スペースという“既存資産”を起点にすると、次のメリット見えてきます。
- 新たな人手を増やさない(運営外部化が可能)
- 新たな予算を大きく増やさない(設計次第で低予算化できる)
- 成果を可視化しやすい(場とデータで説明しやすい)
※ポイントは「解決した」ではなく、解決し得る構造が成立するということです。
3. 「遊休スペース」に抵抗が生まれる理由(貸す側の心理)
担当者が感じる違和感:「遊休スペースってどこ?」
総務・施設管理・CSR担当者が「遊休スペースなんてない」と感じるのは自然です。
空間は設計意図があり、管理責任があり、常に“何らかの用途”が想定されています。
したがって、CSRマルシェ側がまず理解すべきは、現場の違和感は正しいということです。
設備・管理のベテランほど慎重になる理由
ビル設備・管理ほど、次の観点から警戒します。
- 安全管理が複雑化する
- 事故・クレーム時の責任が曖昧になる
- 動線と防犯のリスクが増える
- 施設の価値(ブランド)を毀損する可能性がある
これは拒否ではなく、経験に裏打ちされた責任感です。
4.既存の管理・運用を尊重する運営方針
安全を最優先にした前提設計
CSRマルシェは、従来の管理方法および設計思想を尊重し、ご担当者様と十分に協議のうえ、安全を最優先とした無理のない方法を定め実行していきます。
現場負担を増やさない運用の考え方
- 占有ではなく、短時間・軽量運用
- 来場動線と業務動線の分離
- 衛生・防災・防犯ルールの踏襲
- 事前周知と当日の監視・管理体制
- ブランド毀損行為の抑止と即時対応
5. たかが一角の「遊休スペース」が、CSR&SDGs&DEIへつながる理由
小さな空間が「実感としてのCSR」を生む
一見すると「たかが一角」に見える「遊休スペース」でも、
そこに人が集い、場が生まれると、それは「されど一角」へと変わります。
CSR活動は特別なイベントではなく、日常の動線の中で実感できるCSRになります。
その結果、社員にお願いして動員する、ボランティアなCSRではなく、
「マルシェ開催日が待ち遠しい」と自然に関心が集まる取り組みへと変わり、
社員のエンゲージメントも高まっていきます。
企業の姿勢が、社内外に伝わる形になり、ステークスホルダーへの説明責任や納得感が高まります。
SDGs・DEIへの自然な接続
「遊休スペース」が舞台になると、次の連鎖が起きやすくなります。
- 地域・環境・福祉との接点が生まれる(SDGs)
- 多様な人の参加と交流が可視化される(DEI)
- 企業価値と社会価値が同時に高まる(サステナブル経営)
「遊休スペース」を社会価値へつなぐ“見方”が、次の一手になるという点です。
